交通事故発生後、双方で協議をして決めなければいけないことの一つとして、「過失割合」というものがあります。
過失割合とは、発生してしまった交通事故において、自分と相手方の当事者双方にどれぐらいの責任があるのかを割合で表したものを言います。
例えば、「8対2」という過失割合が決められた場合は、数字が大きいほうが加害者とされ、数字が小さいほうが被害者となります。
その過失割合の結果によって、被害者側が受け取れる損害賠償額が大きく異なってくるため、この手続きは、非常に重要な意味があるのです。
ここでは、過失割合を決める方法や、実際に提示された割合に不満がある場合の対処法についてご説明していきます。
このページの目次
1 過失割合を決める方法とは?
通常、過失割合は事故の当事者間で決めていくことになります。
ただ、一般的には、それぞれが加入している保険会社が双方の代理窓口となりますので、双方の保険会社が事故の状況を調査し協議を行った上で、最終的な過失割合を決めていくのが通常の流れです。
ちなみに、「過失割合は警察が決めるのでは?」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。警察は民事不介入ですので、あくまでも事故発生日の実況見聞を行い、交通事故証明書を作成するための記録をとるだけにとどまりますので、ご注意ください。
そして、実際に過失割合を決める際には、「過去の判例を基準として実際の過失割合を決めていく」方法をとることが一般的と言われています。
多くの場合においては「別冊判例タイムズ38・民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に記載されている過去の裁判例を参考に、手続きを進めていきます。
(判例タイムズ社HP https://www.hanta.co.jp/books/6137/)
また、当然ですが、事故のケースというのは一つではありませんので、その個別のケースごとに存在する事情をもとに、過失割合の数字を修正していく必要が出てきます。これを「修正要素」といいます。
判例タイムズには、事故発生時における両者の位置関係や、相手方が車か人か、などの基本的な過失割合の値に加えて、ケースごとに考慮すべき修正要素についても詳しく記載されていますので、それをもとに修正をし、最終的に双方の合意を得られたら過失割合が決まります。
2 自身で交渉することは難しい?
前項でご説明したとおり、過失割合を決める際においては、通常は判例が書かれた書籍をもとに交渉をしていきます。
また、事故のケースによっては、双方が任意保険に加入していないことや、どちらか一方が加入していないということもありますので、その場合は当然、保険会社を代理せずに、当事者が直接交渉をすすめることになります。
しかし、例えばご自身が任意保険に未加入の状態で、相手方のみ任意保険に加入しているというケースの場合においては、ご自身が保険会会社と直接交渉をしなければいけません。
「判例の本を読めば交渉できるかな」とお考えの方も多いかもしれませんし、勿論それは可能でしょう。
ただ、保険会社は交渉のプロです。交渉になれていない方ですと、相手方保険会社の提示する内容がどのくらい法的根拠があるものなのか、また、本当に妥当な割合なのか、という判断をすることは非常に難しく、結果的に自身が納得できない過失割合で交渉が終了してしまう可能性もあるのです。
特に「修正要素」の判断は、時に専門的な経験と知識が必要なことがありますので、保険会社の提示する内容が絶対的に正しいとは言い切れないこともあり、注意が必要なのです。
したがって、「自身の事故のケースがどのような修正要素に当てはまるのか、判断が難しい」と感じた場合は、その時点で一度弁護士にご相談し、適正な過失割合について算定してもらうことをおすすめします。
3 まとめ
過失割合によって今後の賠償額が大きく変わるため、その交渉は非常に重要です。
自動車保険の中には、「弁護士特約」という補償が用意されているように、いざという時の交渉は、法律のプロである弁護士が行うことが良いとされています。
事故後、双方の見解が食い違い、話し合いがまとまらないというのはよくある話です。
食い違った状態から双方の合意を得るというのは、非常に腰の折れるものですから、交渉が最後までこじれた場合は、最終的に裁判へ移行してしまうというケースも多くあるのです。
事故で精神的・肉体的なショックを受けたにも関わらず、それが癒えないまま裁判での長期間の争いへ発展してしまうというのは、想像以上に大変です。
そのような争いを未然に防ぐためにも、まずは、交通事故が発生した段階で、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。
アポロ法律事務所では、交通事故全般のご相談を承っております。ぜひ一度、いらしてみませんか?