会社が経営を行う上では、日々様々な取引が国内外問わず行われています。そしてその取引が多ければ多いほど、契約トラブルに遭遇する確率というのは格段に上がります。
企業間におけるトラブルでは、個人間契約とは違い、契約の無効や取り消しなどの消費者保護を目的とするクーリング・オフ制度が適用されません。つまり、事業者の自己責任で契約を行わなければいけないのです。
ひとたび契約を締結してしまうと、思わぬトラブルが起きてしまったとしても、その契約を覆すということは容易なことではありません。したがって、契約後のトラブルを未然に防ぐためにも、契約締結時には弁護士によるリーガルチェックを受けることが望ましいでしょう。
なお、こちら(契約書作成・リーガルチェック)のページでも詳しくご説明しておりますので、合わせてご覧ください。
ここでは、よくある企業間トラブルの事例とその対応策、またトラブル発生時の相談先についてご説明いたします。
このページの目次
1 契約トラブルの事例
特に中小企業においてよく発生する契約トラブルとしては、以下のものが挙げられます。
(1) 求人広告トラブル
近年、「期間限定で無料求人広告を記載しませんか?」という謳い文句で、会社に営業の電話やFAXを送り、期間終了後に高額の委託料を請求するという悪質な契約トラブルが非常に増えています。
通常、求人広告の掲載料というのは高額ですので、短期間でも無料で出せるのであれば、非常にありがたいと思ってしまうかもしれません。
しかし、
- 契約時に無料であることを確認したにもかかわらず、期間終了後委託料を請求された
- 契約書に、非常に小さく追加料金の記載があった
などいった悪質な手口で、あの手この手で契約解除を阻止して料金の請求をしてくるため、非常に困ったものなのです。
この場合においては、すぐに相手の要求を飲み込んでしまうのではなく、契約書の内容に違法性はなかったか、正しく判断した上で対応することが大切です。しかし、なかには訴訟を起こしてくるケースもありますので、その場合は早期に弁護士へ相談することが望ましいでしょう。
(2) リース契約におけるトラブル
IT化が急速に進み、今や企業経営にはパソコンやその他ネットワーク周辺機器への設備投資が必要不可欠な時代です。
そのため、初期投資としてリース契約を結ぶ企業が非常に多くなりましたが、そこでも思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
リース契約というのは、基本的に途中解約が出来ず、またどうしても途中解約したい場合は、高額な解約料の支払い(残リース料金の一括払い)をしなければいけません。
また、事業者間での取引のためクーリング・オフは適用されませんので、安易な考えでは契約をしないことが鉄則です。きちんと契約の中身を確認し、リース期間や中途解約の場合の支払いなど、事前に把握した上で、契約を締結する必要があるのです。
(3) 売買契約、売掛金の回収をめぐるトラブル
- 相手が商品やサービスの内容に納得せず、本来支払われるべき代金が支払われない
- 納品後、一切支払われず何度も督促したが、待ってくれの一点張り。その後代金未払いのまま、相手の会社が倒産してしまった・・・
このような売買におけるトラブルも、企業間において非常に多くみられます。
売買トラブルというのは、双方が感情的になってしまう事が多いため、当事者間で解決を図るというのは非常に難しいです。
したがって、最終的には法律的な解決策を用いることが最善な方法です。特に後者においては倒産を想定して未払い状態になっているケースもありますので、売掛金の入金が遅れていることが判明した時点で、早急に対応する必要があります。
(4) 損害賠償請求
- 製品に欠陥があった
- 契約通りのサービスが提供されない
などを理由に損害賠償請求をされるケースがあります。
この時、相手方の主張する損害賠償が契約の範囲を超えたものであるケースや、契約締結時の合意内容とは関係のないことを争点としているといったケースもありますので、契約書の内容を適正に判断したうえで、自社の利益を守るためにも速やかに反論・交渉をすることが大切です。
2 契約トラブルが発生したら弁護士に相談
上記のようなトラブルが発生した場合において、最も大切なことは「迅速に対応する」という事です。
企業間における契約トラブルには、時間をかければ解決しやくすなるものというのはほとんどありませんので、トラブルが発生したらすぐに対処するということが鉄則です。特に売掛金の回収では、時間をかければかけるほど回収の可能性が低くなり、経営の悪化により相手方が倒産をしてしまうケースも多くありますので、注意が必要です。
したがって、契約トラブルが発生してしまったら、まずは法の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
特に、顧問契約を締結している弁護士であれば、社内の事情を把握していますので、余計なタイムラグを発生させることなく、問題発生後すぐに対応することが出来ます。
問題発生後に急いで弁護士を探したとしても、業務内容の説明やトラブルに関する相談をして受任に至るまで、通常1週間以上かかってしまうケースが多いため、日ごろから相談できる環境を整備しておくことが望ましいのです。
3 契約トラブルを未然に防ぐ
紛争解決は勿論ですが、顧問弁護士を置くことにより、契約時におけるリーガルチェックをより精密に行うことができますので、第1項で挙げたような様々な契約トラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
より安全・安心な企業活動をおこなうためにも、顧問弁護士を置くことをおすすめいたします。
4 まとめ
経営をおこなう上で必要となるものを、すべてを自社だけでまかなう事が出来たのなら、それが一番安全で理想的かもしれません。しかし、現実にそれは不可能であり、どの企業でも長年様々な取引を重ね、たくさんの協力を得て現在の形になっています。
しかし企業間取引には、沢山のメリットもあれば、その分リスクも存在しますから、時には非常に深刻な紛争へと発展してしまう可能性もあるのです。
法的トラブルが発生した場合は、その専門家である弁護士に頼ることが、解決への一番の近道です。また、常日頃から相談することができる顧問弁護士を置くことで、いざという時のより心強い味方となります。
アポロ法律事務所では、顧問弁護士のご依頼も数多く承っております。ぜひ一度ご相談にいらしてください。