企業法務

企業法務とは、企業がビジネス活動を行う上で発生しうる問題に対して、法的専門家の立場から、企業の価値や信頼性を守るための予防策や指導を行うことを言います。

企業がビジネス展開をすすめていくためには、どうしても様々な法的リスクがつきものですが、それを恐れていては経営というのは成り立ちません。

昨今、インターネットやSNSの台頭により、どんな人でもより簡単に、多様な情報を手に入れられるようになりました。またグローバル化の発展により、国内のみならず海外との取引・交渉も頻繁に行うことが出来るようになった一方で、ビジネスを行う企業にとっては、更なる法的リスクマネジメントが必要な時代に入ったと言えるのではないでしょうか。

したがって、企業法務の必要性・重要性というのは、今まで以上に増していくことが予想できるのです。

ただ、ひと言で企業法務と言っても、それが具体的に何を指すものなのかというのは、あまり知られていないかもしれません。

1 企業法務の分類

通常、大きく分けて次の3つに分類されると言われています。

(1) 臨床法務 

会社内で法的トラブルが発生してしまった場合において、それを解決するための取り組みのことをいいます。

例えば、従業員から未払い残業代の請求を受けた、またそれに伴う訴訟が起こされたといったケースなどはこれに該当します。

ほかにも、他社から損害賠償請求を受けた、取引先からクレームがあった場合などの対応も臨床法務となります。

これらの紛争を早期に解決することで、会社が被る損失を最小限に抑えることを目的としています。

(2) 予防法務

起こりうる法的トラブル・法的リスクを未然に防ぐ取り組みのことをいいます。

例えば、就業規則の見直し、契約書の作成、知的財産の管理、労務管理の徹底、コンプライアンスのチェックなどがこれに該当します。

既に起きてしまったトラブルの対処をおこなう臨床法務とは異なり、まだ起きていないトラブルを予想・仮定して対処することで、会社の利益損失を未然に防ぐことを目的としています。

(3) 戦略法務

会社が新規ビジネスを展開する際に、それが問題なく実現されるように、法務面でサポートする取り組みのことをいいます。

例えば、新規事業・新規取引や、海外進出、M&Aなどの法的側面の管理などがこれに該当します。

企業価値を更に高めるために、法務の立場からそれを支え、また組み立てていくことを目的としています。

近年、特に大企業の法務部において、弁護士をはじめとする各士業の専門家の設置が増加傾向にあります。それは、上記に挙げられたように多様化する法務リスクマネジメントに対して、各企業が警戒する意識を強めていることを示すものであり、そして今後もそれは増加していくであろうと言われております。

2 企業法務の範囲

では、会社としてどのような分野の法務があるのか、確認してみましょう。対従業員、対会社内部の組織、対取引先など、企業法務の範囲は幅広く、さまざまな法的知識が必要になります。

(1) 労務分野

労務環境の整備や労務紛争の対応を行う業務です。法令を遵守した適切な労務管理を行うことは事業を成長させる上で非常に重要です。ハラスメント防止対策、メンタルヘルス対応、労働時間管理など、労務管理の幅は広いです。適切な対応をしない場合、従業員との間で深刻な紛争に発展しかねません。

また、過労死など深刻な結果を招くことにもなりかねません。会社のため、従業員のため、双方のために適切な労務管理は、必要不可欠です。

(2) 会社法分野

株主総会や取締役会の開催や運営、株主の管理、コーポレートガバナンス等の行う業務になります。株主総会の決議や取締役会の決議に不備があると、会社の重要な法的手続が無効になるなどして、重大な紛争に発展しかねません。

(3) 契約書関係

契約書の作成や契約書のリーガルチェックに関する業務です。取引先との紛争の防止や、紛争になった時の自社の利益の確保という観点から、契約関係の整備は非常に重要です。

契約書の作成やリーガルチェックは、その契約の対象となっている取引において一般的に予想される法的リスクや法的トラブルを予防するための契約条項を入れておく必要があります。

一方で、その業界における取引の一般的な実情に照らして著しく有利な条件にするよう相手方に持ちかければ、相手方の反発を買ってしまい、取引がうまくいかなくなってしまったりする可能性があります。

そのため、許容できるリスクの範囲内を把握した上で、契約書作成やリーガルチェックを行うことが大切になります。

(4) 債権回収や債権管理

自社の債権を管理し、未払いがあれば回収を行います。債権の未回収は、企業の収益の悪化に直結します。

権を正しく管理し、未回収が生じた場合は、すぐに回収に向けた行動をとることが必要です。未払い金が多くなればなるほど、回収が遅れれば遅れるほど、回収が困難になるケースが非常に多くなります。債権回収のスキーム作りを行い、収益の健全性を図っていくことが重要です。

まとめ

企業を取り巻くビジネス環境は、日々刻々と変化を続けています。そして、それに伴って、企業が抱える法務リスクマネジメントの範囲というのも、今後益々広がっていくことが予想されます。

より安全に、安心して企業経営をおこなうためにも、企業法務弁護士の存在は不可欠です。ぜひ一度、アポロ法律事務所にご相談ください。

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