「残業をしたのに、その分のお金が会社から全く支払われない」
「残業代を請求したいけど、どうすれば良いのか分からない・・・」
アポロ法律事務所では、このような未払い残業代に関するご相談を数多くいただいております。
ここでは、実際に未払い残業代を請求する方法についてご説明していきます。
このページの目次
1 未払い残業代とは
一般的な労働者は、所定労働時間を超えて働いた場合、残業代の支払いを受ける権利が生じます。
次のようなケースは、残業代請求が認められる可能性が高いです
- 会社の定める所定労働時間を超えて働いているのに、残業代が支払われていない
- 1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた労働時間や22~5時までの深夜労働に対して、割増賃金(法定外時間は1.25倍、深夜労働は1.5倍)が払われていない
- 休日労働に対する割増賃金(所定休日1.0倍、法定休日1.35倍)の支払いがない方
- 待機時間や移動時間など本来労働時間に含まれるはずの時間の賃金が支払われていない
- 退勤後の持ち帰り残業をしている
- 管理監督者扱いされているが、実態は「名ばかり管理職」
- みなし残業制が適用されているため、いくら残業してもみなし残業手当以外の残業代が払われていない
- 裁量労働制の要件を満たしていないのに、裁量労働制が適用されている
- 変形労働時間制で、1ヵ月または1年単位で見た時に所定労働時間を超えている
1つでも当てはまることがあれば、残業代請求ができるかもしれません。みなし残業代を払えばほかに残業代を払わなくていい、役職手当を支給して、リーダーやマネージャーなどの役職さえ与えれば管理監督者扱いで、残業代を払わなくていいなどと考えている経営者は、未だに少なくありません。
アポロ法律事務所にも、多くのご相談が来ており、残業代の支払いが認められることが非常に多いです。
2 請求する方法
残業代請求ができるかもしれないとして、それでは、どのように請求するのでしょうか。
まず、請求する前に必ず確認しておかなければいけないのは、「時効」の存在です。
なお、以前は2年で時効となっていましたが、令和2年4月から、それを「当面は3年」とする法律が施行されました。
したがって、未払い残業代を遡って請求する際は、過去3年分までであるということを忘れずに、早期に手続きをするようにしましょう。
実際の請求の手順についてご説明していきます。
(1) 証拠を集める
最も大切なのは、「証拠」の存在です。
残業代が未払いであることを証明するためにも、実際の勤務記録の詳細を示す資料をきちんと揃えておきましょう。
証拠となるものとしては、一般的に以下のようなものが挙げられます。
- 就業規則が記載された雇用契約書
- 給与明細
- タイムカード
- 始業や終業時間が書かれたメール・LINE等の送信記録
- 交通系ICカードの記録
- GPSの移動履歴
(2) 未払い残業代の計算をする
会社へ提出する証拠がすべて揃ったら、それをもとに、実際の未払い残業代を計算していきましょう。
残業代の計算方法は次のとおりです。
残業代= 1時間あたりの賃金(※1)×残業時間×割増賃金率(※2)
(※1) 1時間あたりの賃金の求め方は、
・月給制の場合、「月給額÷月の平均所定労働時間数」です。
月の平均所定労働時間は、
(365日- 1年間における休日数)× 1日の所定労働時間数÷12
・日給制の場合、「日給額÷ 1日の所定労働時間(8時間)」です。
(※2) 割増賃金率は原則25%と規定されていますが、休日労働の場合は35%、休日労働と深夜労働の2つに該当する場合は60%割増となる等、その時々の労働の種類によって率が異なりますので、注意が必要です。
(3) 会社と交渉する
計算が終了したら、実際に会社と交渉をして未払い残業代の請求を行います。
ここでおすすめなのが、「内容証明郵便」の送付です。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰にたいして、どのような内容の書面を送付したのかを公的に証明するものです。
法的な効力はありませんが、「残業代を請求したい」という意思を明確にもっていたことを証明するものですので、のちに訴訟へと移行した場合において、重要な証拠の一つとなるのです。
また、先述したような時効を一時的に止める効果もありますから、会社側と直接交渉を始める前段階において、必ず出しておきましょう。
内容証明郵便を出し終わったら、いよいよ会社側と直接交渉をします。
まずは会社の担当者に対して、ご自身で揃えた証拠資料一式を持参し、未払い残業代を請求したい旨を伝えます。
ここで感情的になると交渉が決裂してしまいがちなので、証拠に基づいた内容で、きちんと法に則った賃金を支払って欲しいことを、冷静に伝えるのが重要です。
(4) 交渉がまとまらない場合は審判・訴訟へ移行
当事者双方による話し合いで交渉がまとまれば一番良いのですが、そもそもまともに交渉に応じようとしなかったり、提示した証拠に理由をつけて、支払いをしぶる会社というのももちろん存在します。
したがって、これ以上の話し合いは不可能だと判断した場合は、労働審判や訴訟手続きへと移行し、第三者の判断を求めることになります。
しかし、いずれの法的手続きにおいても法律の知識が必要となりますから、手続きを有利にすすめるためには、相当な労力と時間がかかってしまいます。
また、会社側は弁護士をつけてくることが多いので、法的知識のある相手と対等に戦うというのは、非常に難しいといえるでしょう。
3 弁護士に依頼するメリットとは
以上が、実際にご自身で請求をする際の一般的な流れとなります。
いろいろな証拠を集めて残業代を計算したら、内容証明を出し、トラブルの原因となる会社側と直接顔を合わせて交渉することは、想像以上に大変だな、と感じた方も多いのではないでしょうか。
そもそも、「管理監督者」「みなし残業」「移動時間」「持ち帰り残業」など、残業代が実際に認められるためには、「残業代を請求できる労働者」にあたるのか、その業務時間が「勤務時間」にあたるのかなど、乗り越えないといけない問題があることが少なくありません。
その上、そこまでしても交渉がまとまらない場合は、裁判所を介して判断してもらうしかないのですから、その精神的負担というのは言語に尽くせないものです。
そのためにも、残業代を請求したいと考えた時点で、まずは弁護士に相談ください。
弁護士に依頼した場合、さまざまなメリットがあります。
- 証拠として有利になる資料や、その取得方法について、法的な観点から適切にアドバイスしてくれる
- 法律の知識をもとに正確な残業時間、残業代を計算してくれる
- 会社側がしぶる書類を、弁護士による開示請求によって取得できることがある
- 弁護士が代理人となるので、ご自身が直接会社側と顔を合わせて交渉しないで済む
- 弁護士が入るだけで、裁判を避けたい会社側にとってはプレッシャーとなり、円滑に交渉をすすめられるケースが多い
- 審判や訴訟に移行してしまった場合は、弁護士が代理人となって手続きを行う事ができる
弁護士が介入することによって、交渉を円滑にすすめることだけではなく、ご自身の精神的な負担を大幅に軽減することができるというメリットがあります。また、会社側に言いくるめられることなく、しっかり金額を獲得することも期待できます。
4 まとめ
令和元年4月から施行された「働き方改革関連法」によって、日本における働き方に対する認識というのは、大きく様変わりしました。
バブルがはじける2年前、平成元年には「24時間、戦えますか?」というCMの言葉が流行っていたのですから、それを考えると、時代は着実に変化しているという事を実感します。
従来、日本人というのは真面目な性質であると言われていますが、そのような労働者をうまく利用しようとするブラック企業というものは、残念ながら存在します。
しかし、労働者としての大切な利益を守るためにも、未払い残業代というのはきちんと請求すべき権利です。
まずは一度、アポロ法律事務所へご相談ください。残業代請求をするために必要な証拠を考え、適切な請求の方法をアドバイスいたします。
アポロ法律事務所では、労働問題を多数解決した実績を持ち、未払い残業代の請求手続きをはじめ、労働問題に精通した弁護士がいます。
ご自身のケースにおいて、未払い残業代は請求出来るものかどうか等、まずはお気軽にご相談いただければと思います。ぜひ一度、ご相談にいらしてみてください。