治療打ち切り・症状固定と言われた

交通事故後、一定の治療期間が経過すると、相手方保険会社から「症状固定ですね」と言われ、治療の打ち切りを打診されることがあります。

症状固定とは、事故が原因で発生した症状が「固定」された、つまり「これ以上治療を続けても改善が見られない」状態をいいます。

症状固定前の治療期間中、相手方保険会社は、その期間に発生する治療費や休業損害費、入院・通院慰謝料、交通費等をすべて負担しなければいけませんが、症状固定後は、これらの治療に伴う費用がすべて支払われなくなります。

したがって、相手方保険会社からこのように言われた場合は、注意が必要なのです。

また、ここで気をつけていただきたい点として、症状固定は、保険会社が判断するものではないという事です。

事故後の治療は、当然、保険会社がするのではなく病院の医師が行いますから、その症状の判断というのは病院側がするものです。

では、なぜ保険会社からそのよう打診されてしまうのでしょうか。

それは、治療が長引けば長引くほど、保険会社が支払う金額が増えていってしまいますから、それを最低限で抑えたいという狙いがあるからなのです。

したがって、保険会社から症状固定を打診されたとしても、すぐには同意せずに病院の医師と相談するようにしましょう。

ここでは、症状固定と言われた場合の対応について、ご説明していきます。

1 症状固定と言われたら

冒頭でご説明したように、まずは病院の主治医と相談することが大切です。

そして、相談をした上で「まだ症状固定ではない」と判断された場合は、その旨を医師の意見書として形にしてもらい、それをもとに保険会社へ治療継続の申し出を行いましょう。

しかし、残念ながらそれでも治療を打ち切られてしまうというケースもあります。

「治療はまだまだ必要だと思うのに、どうして?」と怒りの感情を抱いてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

もともと、多くの保険会社では、保険会社が直接病院へ治療費の支払いをするという「一括対応」をしている事が多いので、これによって、ご自身が窓口で立て替えて支払う手間を省くことができます。

ただ、この一括対応には法的な義務はなく、あくまでも保険会社のサービスの一つなので、それが途中で打ち切られてしまう可能性も充分にあるということを、知っておきましょう。

しかし、打ち切られたからといって、ご自身が通院そのものを継続してはいけないという事ではありませんから、その間は、主にご自身の健康保険等で支払いをすることになります。示談交渉がすすんだのちに、その支払いが事故において発生した損害であると認められれば、その期間の治療費についても保険会社から支払われることになるのです。

2 適切な時期に症状固定することが大切

症状固定をやみくもに延ばしたからといって、必ずしもご自身が有利になるというわけではないという事も、頭においておかなければいけません。

通常、症状固定後には後遺障害等級の認定が行われますが、症状固定が必要以上に長引き、その結果として症状が改善した場合、この認定がされにくくなってしまうことがあります。

また、症状固定の期間が増えた分、保険会社との交渉手続きが長引くことになってしまいますので、示談を終えて解決するまでに、かなりの時間を費やしてしまう可能性も含んでいるということにも、注意が必要なのです。

ただ、症状固定があまりに早すぎる場合も、その後の後遺障害認定がされにくくなってしまい、結果的に請求額が低くなってしまう可能性がありますので、適切な時期に症状固定をするということが非常に大切なのです。

3 まとめ

保険会社から言われるがまま治療を止めてしまうと、適切な通院が出来ないまま、症状固定されてしまいます。その結果、不適正な後遺障害等級認定がされてしまい、本来受け取るべき賠償額を受け取れなくなってしまう可能性があるのです。

したがって、「症状固定」というのは、その交通事故における賠償額を決める非常に重要なものなのです。

また、本来受けるべき治療を受けなかったことで、その後に症状が悪化してしまい、今後の生活に影響が出てしまう可能性があることにも危惧しなければいけません。

しかし、事故によってダメージを受けた状態で、ご自身で医師に相談をし、その上で保険会社と交渉するというのは、非常に大変な作業です。

保険会社は交渉のプロですから、その相手と対等に交渉し、適正な賠償額を請求するというのは、非常に難しいと言わざるを得ません。

症状固定をすべきなのか、または継続すべきなのか判断に迷われた場合は、一度弁護士へご相談することをおすすめします。

弁護士はご依頼者様の代理人となって、医師との面談の内容や診療カルテ等をもとに法的・医学的根拠を鑑みて、症状固定の妥当な時期を判断します。その結果、ご依頼者様に最もメリットがある内容で、保険会社へ賠償額を求めることが出来るからです。

アポロ法律事務所では、交通事故後のご相談から保険会社への示談交渉をはじめとして、幅広く交通事故案件を承っております。ぜひ一度、ご相談にいらしてください。

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